スコトーマ - 人は知らないものは見えない -
こんにちは安野です。
相談業を軸に活動しています。
以下は先日のtweet。
同時に2人の特徴をもつことはない。
— やすの【相談業】 (@yasuno_y1989) January 18, 2021
つまり、グーを出しながらパーを出すことができなかったり、近くも遠くも同時に見ることはできない。
必ず盲点ができることを知っておくことが重要だと感じるなあ。
手に持った鉛筆を見ながら、1キロ先の山を鮮明にみることはできません。これは視野だけでなく脳の働きも同じです。
今日はそんなスコトーマついて書いていきます。
スコトーマとは
人は景色を見るときに焦点を合わせることで、はっきりと鮮明に見ることができるようになります。
近くを見るときには遠くが見えづらくなりますし、遠くを見るときには近くが見えづらくなります。これは毛様体筋が働いて目のレンズの役割を持つ水晶体の厚みを調整することで起こります。
この焦点が合っていない部分をスコトーマ(盲点)と呼びます。
これはだれもが経験的に知っていると思いますが、実はこのスコトーマは視覚機能だけでなく認知機能ありとあらゆる場面に関わっています。
例えば、渋谷のスクランブル交差点のようなごった返すほどの人混みでも、自分の名前を呼ぶ声だけは聞きとれたりします。
これは自分の名前に対する意識が強いから、あれだけたくさんの声が飛び交っている中でも聞こえるワケです。あれだけの騒音の中、自分を呼ぶであろう人の声の特徴と自分の名前に意識が向いているから気づけるのです。普通なら他の音がうるさくてその中に自分を呼ぶ声などまぎれてしまいます。
この現象は認知科学の分野ではカクテルパーティー効果とも呼ばれます。
これは、脳の網様体賦活系(RAS)の働きによるものです。
RASは自分にとって不要な情報を遮断するフィルターのような働きをして、私たちが必要な情報だけを効率よく認知できるようにします。
渋谷のような人が多く情報量が多い空間では、全ての情報を処理しようとすると、脳は一瞬でオーバーヒートしてしまいます。
RASの働きのおかげで自分に不要な情報をカットし、自分が求める情報だけをインプットすることができるのです。
これは逆にいうと人は意識を向けないものは見えないということでもあります。
スコトーマによる具体的な影響
突然ですが筆者の安野は相談を生業にしています。具体的には、メンタル面で問題を抱えている状態の人のカウンセリングやコーチング、ビジネスのプロデュース・コンサルティングなどです。MCCでは相談を生業とする人達に認知と心理について教える講師もしています。
相談業をしていると顕著に感じるのですが、私たち経験者が当たり前に思っていることでもクライアントにとっては目から鱗だということが毎日のように起こります。
例えば先日仮想通貨の投資に関してアドバイスをしたところ、1ヶ月程度で資産を100万円増やした知人がいます。
この知人は仮想通貨にあまり興味がありませんでしたが、筆者がアドバイスをしてから市場の動きを時々連絡してきて雑談をするようになりました。
今までも仮想通貨のニュースは流れていたはずですが、自分には関係ないと判断してスコトーマが遮断していたわかりやすい例です。
自分に関係があると思いはじめると急にその話が耳に入ってきやすくなってきます。
これは世界が変わったのではなく、ニュースをみる人の意識が変わったに過ぎません。つまり、それまでスコトーマだった部分に意識が向き、見えるようになったのです。
スコトーマは常に存在する
ここで注意して欲しいのは、ひとつの情報に集中している状態は他のことがスコトーマになるということです。
Aという対象に集中している状態は、今までBやCにも向いていた意識がAに集まっている状態です。なので、Aに集中していなかったときには見えていたBやCが見えづらくなるのです。
自分の認知をコントロールする為に必要なこと
人は同時に2つの物を見ることはありません。
あなたがAに集中しているとき、今まで見えていたBやCはスコトーマになっているかもしれないのです。
だからこそ、俯瞰して状態を把握することは非常に重要です。
その為には自分自身の認知に意識を向けること。これをメタ認知といいます。
今の自分はどんな状態か。どの情報に意識が傾いているか。これを意識にあげれば、極端に偏った考え方にならずに自分で意識する対象をコントロールできます。
メタ認知については下の記事で詳しく解説しているので興味がある人は見てみてください。
現代には意図的な洗脳とも言える情報が溢れています。
それに巻き込まれることなく自分が理想とする未来を創るには、スコトーマを含めた脳の働きを知っておくことが大切です。
無意識下にあるものを意識に上げて認知することで初めてそれを自身のコントロール下におくことができるようになります。
脳の理解を深め、読者のあなたが想う人生を生きることを願います。
では、また次の記事で。